糖質中毒の原因を作ったのは「ドーパミン」?

糖質が「美味しい」と感じてしまう理由

長期間の糖質過剰摂取は、糖尿病の原因です。つまり、体には好ましくない物質です。

なのに美味しいと感じ、次々と欲しくなってしまいます。

「なぜ、ヒトは体に害でもある糖質を摂取して、美味しいと感じるのか?」

疑問です。

実は、この反応は「麻薬中毒」と同じだったんです・・・。

参考:『炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】』
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血糖値を監視している視床下部と恒常性

まず、ヒトの体には、「恒常性(ホメオスタシス)」という、体温、血糖値、血液酸性度などを一定に保つ機能が備わっています。

この機能は、脳の「視床下部」が監視役となり、血液の状態に異常がないか常にチェックしています。

では、視床下部は、高血糖をどう判断したのでしょうか?

答えは、「異常事態」です。

異常事態対策で「ドーパミン」を分泌

高血糖を異常事態と判断した視床下部は、恒常性を保つため、血糖値を正常なレベルに下げなくてはなりません。

なのに、この時、快楽物質でもある「ドーパミン」が中脳(A10神経)から分泌されてしまいました。

なぜ、ドーパミンが分泌されたのでしょうか?

「追加インスリン」を分泌するためです。

インスリンは、脂質(脂肪酸)などの取り込みの指令を出すホルモンなので、通常も少量ずつ出ています。それが、高血糖になると、ドーパミンの反応を介して分泌が促されるそうです。

この反応が糖質依存に関わっていきます。

なお、インスリンは、糖質(ブドウ糖)の吸収を促進するためのものと思われていますが、違います。

本来は、脂質の吸収促進がメイン(本業)で、糖質は、おまけ(副業)だそうですよ。

加熱ドングリを食べた初めての人類

大昔のおはなしです。

今から1万2千年前、ナッツを食べるようになったヒトの祖先が居ました。彼らは、アーモンドやピスタチオが食べられると知ります。

しかし、同じナッツに見えるドングリは、渋くて食べられませんでした。

その時、火を扱うことを覚えていた我々の祖先は、そのドングリを加熱して食べてみたそうです。

すると、食後、血糖値が通常の2倍以上の高血糖となり、高血糖から戻すために、ドーパミンが大量に分泌されてしまいました。

食後の高血糖に対し、追加でインスリンを分泌する前段階として、ドーパミンが分泌されてしまい、そのドーパミンを報酬系神経回路の一部が受け取ってしまったため、糖質を摂取すると、「幸福感」「もっと欲しい!」と感じるようになってしまったのです。

つまり、高血糖、ドーパミン、報酬系、という流れにより、「糖質は、幸福をもたらすもの」と、人間の脳は、認識してしまったのです。

これが、人類が初めて「加熱デンプン」を口にした出来事と言われています。

生のデンプンは、動物には、ほとんど吸収されません。しかし、加熱で性質が変わり過剰に吸収されてしまうようになります。

血糖値を下げる仕組みが「報酬系」に作用してしまった

まるで「ついうっかり」のような作用によって、糖質中毒が生まれたという事には、驚かされました。

血液の中で「高血糖」という異常が起こると、血液を監視している視床下部は、脳の中脳にある「A10神経」を刺激して、「ドーパミン」の分泌を促します。

ドーパミンは、「副交感神経」に作用して「膵臓」に伝達され、「インスリン」が分泌されるという仕組みだそうです。

ですが、ドーパミンを結合(受容)する細胞は、色々なものがあります。

その一つが「報酬系」と言われるもので、この神経細胞にドーパミンが結合してしまうと、「幸福感」を生み出してしまい、更なる快楽を求めて糖質を欲するようになります。

こうして、糖質依存が深ったという事ですね。

恒常性により、高血糖状態を正常に戻すために分泌されたドーパミンによって、幸福感が生じてしまった「ついうっかり」が全人類に影響しているなんて・・・。

糖質中毒になるまでの順序

では、作用順序のおさらいです。

  • 1.高血糖になる
  • 2.視床下部が「血糖異常」を察知する
  • 3.中脳A10神経からドーパミンが分泌される
  • 4.副交感神経経由で膵臓に作用する
  • 5.膵臓(β細胞)がインスリンを分泌する

元々ドーパミンを生み出す神経細胞は無機能だった

生物(ヒト、動物、共通祖先)の祖先がまだ多細胞生物だったころ、「機能を持たない神経細胞」があったおかげで生き延びることができました。

まず、単細胞から多細胞へと変化を遂げた生物は、細胞同士の統制を保つ為に、体表面に中枢神経が通っていたそうです。

つまり、神経むき出し状態。

対して、水中では、栄養を得る為に固体表面に結合する性質を持つ細菌がいました。

これが、多細胞生物にくっつき、他の細菌とやり取りする時に発していた神経伝達物質によって、多細胞生物の中枢神経はかき乱されたそうです。

多細胞生物も細菌も、同じ神経伝達物質で細胞同士の連絡をやり取りしていたので、細菌の影響をモロに受けてしまったそうです。

こうして、細菌に結合された多細胞生物は、機能不全状態でジ・エンド。

しかし、この多細胞生物の中に、細菌によって発せられる撹乱物質を「神経の一部」に受け流して、機能不全を免れる事ができるようになった個体が居たそうです。

それが、全生命体の祖先となる生物と考えられています。

その撹乱物質を格納する事のできた「神経の一部」というのが、いずれドーパミンを生み出す神経になったそうです。

この話は、まだまだ長く、「じゃあ、どういう時にドーパミンが分泌されるのか?」という説明と人類の進化の歴史などに繋がり、最終的に脳の成り立ちから、「糖質中毒」に結びついていくという内容でした。

うーん。深い。。。

糖質中毒は未来永劫、ヒトの脳に残り続ける

たぶん、多くの人が感じているだろう誤解があります。

それは、「ヒトの脳」は、進化して高機能になったという誤解です。

私も感じていた誤解です。

本当は、そうではないんですねぇ・・・。

脳の成り立ちを知っていくと、脳は、スマートに高機能になったのではなく、古い機能を捨てる事なく、どんどん追加した結果、今のように複雑化しました。

さらに、チンパンジーから枝分かれし、昆虫や小動物など、地上の生物を食べるようになったことで、タンパク質と脂質の摂取が増え、体や脳が大きくなっていったそうです。

脳には、「古い機能は取り外さない」という「絶対ルール」が存在していることがわかっています。

つまり、古く使わなくなった機能も残しつつ、新しい機能も追加した結果が今のヒトの脳です。なので、理性ではどうにも出来ない部分も残っているのです。

また、古い機能を取り外さないルールがある以上、「高血糖→ドーパミン→幸福感」という仕組みは、この先、ヒトの脳が何世代バージョンアップを繰り返しても無くなることはないのです。

そうならない為には、自我で理解して「糖質制限」するしかないことがわかります。

人類史上99%が動物性タンパク質

人類史500万年。
そのうち、たった1万年ちょい前から始まった糖質生活

ほぼ全ての食生活を昆虫や小動物などの動物性タンパク質、脂質に頼っていたとなると、主食が穀物となっているのは、どうなのでしょうか。

疑問を感じざるを得ません。

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